第2章 嵐:大野智
風に靡く髪の毛を耳にかけ、
は
すぅ、と息を小さく吸った。
「海外に行くことになったの」
呼吸が、
一瞬だけ止まった。
平然とまではいかないが、
ただ笑顔で微笑む彼女は唇を噛み締めた
「…なんで、県外だって」
「うん。私もね、驚いたの
高校生が海外?って
でも会社の意向で研修とか本社がある
アメリカでするってなってるんだって。
だから、しばらく海外に居て研修終われば
日本に戻ってくるの」
「どの、くらい?」
「……1年、かな」
ダメだよ、行くなよ
離れたらどうすりゃいいか分からないよ
ねえ。
お願いだから、
俺の手の届く範囲に居てくれよ…
「大野く、「…そんなっ、やだよ!」
「行くなよ!海外なんて、行くなよ!!
俺の傍に居てよ、顔が見れる距離に居てよ
不安に、なる距離に行かないでよ…」
ずっと当たり前に一緒に居れる、
そう思っていたのに
現実はそう上手くいかないみたい。