第5章 嵐:二宮和也
教室に入れば寄ってくる女子。
鬱陶しい。
化粧臭い、香水つけすぎ。
触んな、匂いがうつる
「…ウザイから触んな」
『…あ、ごめんね!和也っ!
だから怒らないで』
ご機嫌取りのその言動も、
もうご機嫌取りになっていないぜ
イライラする。
だから教室を抜け出した。
空き教室に行けば、
今朝のヤツがイジメられていた
泣いてる。やめてと叫んでる
だから、
なんとなく割って入ってみた。
それだけ
「なにやってんの?」
『…か、ずなりくん!?』
『うそ…』
「その子、泣いてんだけど
やめてやんないの?
それとも、やめたくないわけ?
どうなの?さっさと答えてね」
『…行こっ』
バタバタと去る女子らを、
無視してヤツに近寄る。
「立てます?」
「せ、んぱいっ…」
「なにやってんの。
ボロボロじゃないで……
「ありがとうございます、先輩…」
抱きついてきたヤツの温もりが、
なんとなく居心地よくて
思わず抱きしめていた。