第2章 ハツコイ
─翌日─
いつも通りの時間。
いつも通りの行動。
うちは、武内家のインターホンを鳴らす。
しばらくすると、ガチャっとドアが開かれ、花音が出てきた。
「おはよ!真利」
「おはよー、花音」
花音と並んで、学校までの道のりを歩く。
学校までは20分程。
代わり映えしない平坦な道を、他愛ない話をしながら進む。
「真利、社会のプリントやった?」
「当たり前じゃん」
「……ねぇ真利~」
甘ったるい声で、花音がうちを呼ぶ。
……わっかりやす。
「…はいはい。学校ついたら見せてあげるよ」
「さっすが真利!わかってるね~!」
ニコニコしながら花音が頬をつついてくる。
花音、うち慣れちゃったよ。
宿題ちゃんとやれよ。
そんは思いは叶わないと知ってるから、うちは言わない。
言うのがメンドーなだけだけど。
はは…と自嘲気味に笑っていると、聞きたくもない声が聞こえた。
「おーい、花音!」
「あっ!悠人~!!」
……何故 ここにいるの!?
ねぇ、なんであのチャラ男がここに!?
誰か説明して、マジで!
「悠人、どうしたの?いつもは会わないのに…」
「いやぁ、花音に会いたくなってさあ」
「やだぁ、もぅ悠人ったらあ~」
……花音、気付け。
遠回しだけど、そいつストーカーでしょ!?
今日偶然会うとか、どんな奇跡だよ!
時間合わせたに決まってんじゃん!
心の中ではズタボロに言っても、冷や汗は止まらない。
手が震える。
男なんて、大っ嫌いだ。
それが例え、親友の彼氏だとしても。
……よし、逃げよう。
「じゃ、じゃあ花音、後はごゆっくり!!うちは、先、行ってるね!」
「えっ、真利──」
「社会のプリントは、ちゃんと見せるからね!じゃね!!」
花音がまだ何か言っているが、気にせずに走った。
男と一緒なんて、冗談じゃない。
花音を置いてきてしまったことは、悪いとは思ってるけど…
あの場にいたら、おかしくなっちゃいそう。
…まぁ、花音にしても、彼氏と二人でいられるんだし…
結果オーライだよね!うん!