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砂糖入りの紅茶より甘い日々を 諸星さんお誕生日作品

第1章 とある日のミカエリス家


ぼーっとしているのに近い状況になり彼も不思議な顔をしていたのではないだろうか
そう思った途端に額が合わせられた
それで我に帰り、あわあわと内心慌て顔を赤くした
彼は何を考えているのか私には分からない、あまりにも有能過ぎるのか心が読めない
しかし付き合ってきた私には分かる
何でも出来て気遣いもできる、しかし自身の持つ感情に疎いこと
相手のことは何でも察するのに自分の気持ちがはっきり分かっていないのだ
まるで人間ではない異世界から来たように人間の感情に疎い彼
でも、そこがまた愛おしくて何でも教えてあげたくなってしまう

「今、寂しそうな顔をされましたね。ふふ、貴女が私に甘えてくるまで待つべきだったでしょうか」

あまりにも顔が近すぎて見えないけれど、悪戯しているかのように笑っている顔が脳裏に浮かぶ
貴方という人は本当にずるい
こうしてるだけで愛されている感じが凄く伝わるのだから
この人を選んで良かったのだと心から思う

「さて、私はこれから仕事ですが…」

顔が離れたかと思えば微かに笑んで見てくるセバスチャン
そんな時、私の表情はどのようになっていただろうか
すると彼が私の頭に手を置いて撫でるような手つきをした
大人になってから頭を撫でられるという行為は恥ずかしいものだが好きな人となると、ちゃんと受け止めたくなるものだと感じる
そうすればクスリと笑って顎を持ち上げられた

「やはり、そうですか。貴女は私がいなくなるということが寂しいのですね」

満面の笑みを浮かべてくれば彼の顔は耳元に近づいてくる
吐息が感じられるのと低音ボイスが私の耳だけに優しく届く
この瞬間、私の顔は真っ赤になり、はめられたとかなり恥ずかしくなった
彼は人の心を見透かすのも上手いが、ひっかけてくる言葉にも長けている
頭の回る人には、きっと一生勝てないけれど

「そ、そんなことないよ。セバスチャンがいつも仕事頑張ってくれるおかげで生活できるんだから。寂しくなんか…」

勝てないけれど、強がることは出来る
彼に迷惑はかけられない
ここで私が我慢していればいいだけの話
多忙なスケジュールで私との時間を割いていてくれるのだから寧ろ逆に感謝しなければならない

「嘘はいけません。いいですか?私に嘘は通用しません」

唇に彼の指が当たって口を閉じる状態になる
暖かな部屋
貴方との温もり
離したくなくない
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