第3章 日常
「・・・で、いいよね?」
「あ、はい。そうですね。」
雪乃はしばらくボケーっとしていたため、三人がなんの会話をしているのかわからなかったが、京楽隊長の問いかけにとりあえず返事をしたのだった。
京楽隊長は雪乃の了承を得ると「じゃあ、後でねー。」と隊舎を去っていった。
乱菊も「私、いい店知ってるからさっそく予約してくるわ!」と隊舎を出て行ってしまった。
なんのことか分からずにただ「いってらっしゃい」と手を振る雪乃に向かって冬獅郎は声をかけた。
「お前、話聞いてなかっただろ?」
雪乃は気まずそうに振り返った。
「ば、ばれた・・・?」
「当たり前だ。」
ため息を吐く冬獅郎に雪乃は苦笑いしかできなかった。
「宴だとよ。」
冬獅郎は仕事をしながら言った。
「今夜7時にここに集合だそうだ。よかったな。」
雪乃はとてもお酒が好きなのでさっきまで悩んでいたのが嘘のように顔が明るくなった。
「お店は乱菊のチョイスだね!楽しみー!ひっつーも行くでしょ?」
「あぁ、行かねぇとうるさいやつがいるからな。って・・・さっきから言おうと思ってたんだが・・・」
雪乃は嬉しくてクルクル回っていた動きを止め、首をかしげる。
「ん、何?」
見当もつかずに憂かれている雪乃を見て不機嫌そうな顔をした冬獅郎は声を低くして言った。
「ひっつーってなんだよ、俺は隊長だ!呼ぶなら日番谷隊長だろ!!」
雪乃は「えー。」と不満そうな声を漏らす。
「わかったらとっとと仕事終わらせてこい。今晩参加できなくなるぞ。」
雪乃はハッとまだ溜まっている書類たちを思い出してすぐに隊舎を出て行った。
「頑張る!じゃあ、後でね。冬獅郎!」
と言い残して・・・
雪乃が去ったあと、静かになった隊舎には
「日番谷隊長だ・・・///」
と赤面した冬獅郎のつぶやく声が響き残った。