第8章 無力少年は立ち上がる
「さんが、先ほど交通事故に遭い病院に運ばれました」
言っている意味がよくわからない
しかし、何度もその言葉を頭の中で反芻する
実感なんてわかない
でも、いまだにはここにいないから、嘘じゃないんだろう
そう思った時、何も聞こえなくなった
何も見えなくなった
世界が急速に狭くなった
ただ、一つだけ思い浮かんだ言葉は
「死」
だった
死ぬ……のか?
が……?
そんなの……そんなのって……
その瞬間、心臓がえぐれた
気が付いたら席を立ちあがり、走り出していた
教室を出て病院に向かおうとしようとした
しかし、誰かによってそれを拒まれた
「離せっ!!」
「落ち着けって岩泉!!」
数人の男子生徒によって、俺は止められていた
担任が俺を食い止めるように指示を出したらしい
俺を抑えるそいつらを振り払うが、意味をなさなかった