第1章 初雪*出水公平
外を見ると雪が降っていた。
私の知ってる限りでは初雪のはずだ。
今日は12月20日。
今年は随分と雪が降るのが遅かったなあ、
と思う。
雪が降ってきたのを意識すると
急に寒く感じた。
ブルッと軽く身震いすると
後ろから声を掛けられた。
「なに、寒いの?」
いつの間にか後ろにいたのは出水公平。
私の一番のライバルで、
異性だと一番の親友だと思う。
一応先輩だけど、
なんだかそんなことを感じさせない雰囲気は
彼が持つ独特のものなのだろうか。
『見て。雪』
「ほんとだ。今年は遅かったなー…」
その言葉を聞いて私はクスッと笑った。
「なに?」
『同じこと考えてるなあ…と』
「はは、だってその通りだろ」
『まあね』
そして会話が途切れる。
私は窓の外にずっと目を向けていた。