第9章 あなたの分まで
神田は無表情に
憤りをにじませて、
ダニエルに顔を近付けた。
「投資してやる?
投資しか出来ねぇんだろ?
やめたきゃやめるんだな、
そしたら世界は伯爵に潰されるだけだ。
大体、サポーターなんかより
よっぽど大切なエクソシストに
手を出しといて、
無事でいられると思うなよ」
ダニエルは、正論にぐっと言葉を飲んだ。
悔しそうに神田を睨む。
ー あのユウを睨み返すなんて、すごいさー...(汗)
その根性だけは見直してやった。
すると、
「...最低な男...。
女の子を殴るなんて」
ダニエルを睨み付けていた
オレの腕の中から、
か細い声がした。
「リラン!!大丈夫さ!?」
慌てて顔を覗き込む。
リランはにっこり笑った。
「大丈夫だよ。
神田、ラビ、
助けてくれてありがとう」
「良かったさ...!」
リランを強く抱き締める。
ホッとしたような空気が流れた。
しかし、安堵したのも束の間、
ドアがバタンと開かれた。
全員の視線が集中する。
「た、助け...て...」
カジムだった。
こちらに伸ばす手と顔に
黒いペンタクルが現れ、
カジムの体が崩れた。
「カジム!!!!!」
オレは叫んだ。
リランは硬直し、絶句する。
神田は【六幻】を発動して
ドアの向こう側の敵に向かって
駆け出した。
神田が斬る前に、
アクマは撃ってきた。
ガガガガ!!!!
「ぎぃゃああ!?」
リランと、悲鳴をあげるダニエルを
抱えたオレは窓を突き破って
外に転がり出た。
「くそっ、ここにもか!」
しかし、外にも5体アクマの姿がある。
撃ってきたアクマに対し、
咄嗟に【鉄槌】を発動して弾丸を防ぐ。
ー 全部Lv1さっ、これなら...
いける、と思ったとき
そのうちの3つが爆発した。
リランの槍が、貫いたらしい。
「大槌小槌!満満満!!」
残りもあっという間に片付けた。
半壊した書斎から、
神田も出てくる。
「やったか?」
短く問う神田に、頷き返した。
「多分、こいつ狙ってたアクマさ。
破壊したから任務完了さ」
親指でダニエルを指し、
座り込むリランの隣にしゃがむ。
「また、目の前で、人が...」
「そんな泣くなさー、リラン」
ポンポン頭を叩く。