第9章 あなたの分まで
~リランサイド~
結局、アクマ討伐は午後から
ということになった。
雨が降ってきて、
午後にならないと晴れない
という話だからだ。
ー それは良いんだけど.......。
私は広い屋敷内で迷っていた。
異常にベタベタしてくる
ダニエルをかわして
逃げていたら、いつの間にか
全然分からないところへ
入り込んでしまった。
使用人を探すが、
なぜか1人も見当たらない。
「困ったなぁ....」
ため息が出る。
とりあえず引き返そうと
踵を返したとき、
声が掛けられた。
「エクソシスト様?
なぜこのようなところに
おられるのですか?」
案内をしてくれた老人だった。
ホッとして駆け寄る。
「すみません、迷ってしまって...。
みんなはどこにいますか?」
老人は優しい笑みを浮かべた。
「ご主人様が、あなた様を
お呼びでございます。
どうぞこちらへ」
そう言って、
リランを案内するように
先に立って歩き出した。
「あの、話って?」
「任務のことでお話があるとか。
皆様もいらっしゃいますよ」
「そうですか...」
微かに安堵した。
ー .......あの人は苦手だ。
思い浮かべると、
苦い感情が込み上げる。
ー すっごい馴れ馴れしいし.......。
手付きが気持ち悪い。
昔から慣れている手付きでもあるが。
ため息をついたとき、
老人が立ち止まった。
「ここでございます」
案外すぐに書斎にたどり着いた。
老人は、ドアをノックした。
「誰だ?」
「私です。エクソシスト様を
お連れしました。」
「入れ」
ドアが開けられる。
私が中に入ると、
背中でドアがバタンと閉じられた。
振り返ると、老人の姿はない。