第9章 あなたの分まで
~リランサイド~
淡々と話すラビの
顔はどうしようもないくらい
哀しげだった。
ー ブックマンの一族.......何て残酷なの。
リナリーや神田、アレンに
比べれば私はラビと過ごした時間は
あまりに少ない。
でも、その短い間でも
ラビが人の気持ちを思いやれる
優しい人だということはよく分かった。
だから、悲しめないラビの分まで、
私が悲しもうと思った。
傲慢かもしれないけれど、
私はラビを支えたい。
泣き止んだ私にラビが
笑いかけた。
その時、私は気付いた。
どうして、こんな感情が生まれるのか。
初めて会った時と同じ、
ラビの人懐こい明るい笑み。
ー 私は、この人が好きなのかな.......?
誰かを好きになったことなどない。
人は、いつだって私にとって敵だった。
ー ...やっぱり、違うかな。
これはきっと、好きとかいう感情じゃない。
初めて人に優しくされて、
勘違いしてるだけだ。
私はそう思って、
浮かんだ考えを振り払った。