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孤独を無くしたい 【D.Gray-man】

第9章 あなたの分まで


「...優しいんですね、ラビさんは」

戻ると、カジムがそう言った。
リランもうんうん頷く。
オレは苦笑する。

「別に、大したことしてねぇし」


ー ...本当に、オレは何してるんさ。


頭を冷やすべきなのに、
色々おかしいことをしている。


ー じじいだったら、余計なことすんなって
  怒ってるだろうなー.......。


その様子が目に浮かんで
ふっと笑う。


そのとき、悲鳴があがった。


「きゃあああああああ!!!!」

「何だあれ!?化け物だ!!!!!」


即座に振り返る。

そこにいたのは.......


「ユウ!!リラン!!アクマさ!!」

ボール型のアクマ。
まだLv1の、初期段階のアクマだ。

イノセンスを発動したとき、
アクマの弾丸は、オレ達ではなく
違うところへ撃たれた。


ー !?...あそこには、あの子達が...!!


歯噛みする。

「あそこには、あの少女達がいたはずです!!
 僕、助けに行ってきます!!」

「カジム!?危ねぇさ!!隠れてろ!!」

「ダメだよ!!私が行くから!!」

「リラン!?」

カジムを物陰に引っ張り込むと、
リランはあっという間に走り出した。

「チッ、何やってんだ!!」

神田が叫んでアクマに斬りかかる。
斬った瞬間、周りにはさらに
5体のアクマが現れた。
神田が囲まれる。


「ユウ!満、満、満!!」

鉄槌で3体を破壊する。
残りは神田が一刀両断した。
神田は、その切っ先を
そのままオレに向ける。

「下の名前で呼ぶんじゃねぇ...。
 何回言ったら分かるんだ」

「スミマセン」

鉄槌をしまうと、
オレは路地の隅にしゃがみこんでいる
リランを呼ぶ。

「リラン!早く行くさ!
 でないと街の連中戻ってきちまうぞ!」

リランは動かなかった。
仕方なく近寄る。

リランは、ボロ布を抱き締めて
肩を震わせていた。

「何してるんさ?
 早く行かねぇと」

リランはぎゅっと布を強く
抱き締めた。

「あの子達が.......。
 死んじゃった。
 間に合わなかったの。」

呟く声は悲しみで染まっていた。

「その程度の犠牲でアクマは
 倒せたんさ。
 むしろ喜ぶべきじゃねーの?」
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