第9章 あなたの分まで
「いやぁ~、まあ、気にしない気にしな~い。」
「ふざけてんのか、テメェ」
神田の顔がいっそう険しくなる。
オレは必死で神田をなだめてから
コムイを見た。
「ホントはラビだけでもいいんだけどね。
今回の任務は、どちらかというと
イノセンス回収は二の次なんだ。」
急に真面目な顔になったコムイが、
書類の山から出てきて
机に寄り掛かって立った。
意味が分からず眉を寄せる
オレと神田。
「二の次?ってどういうことさ?」
「それが、イノセンスがあると
いう可能性が実はかなり低いんだ。
普通は外れとして任務から除外するんだけど、
その近くで君達に護衛を頼みたい人がいてね。
イノセンスの確認をして、
あったら回収、無ければ....
まあ、それもよし。
その後に護衛の任務をしてほしい。」
聞き返すと、コムイは眼鏡を押し上げて
『室長』の顔で言った。
ヘラヘラしているくせに、
こういうときは怖いほど真剣だ。
神田もそれを感じたのか、
険しい顔を少しゆるめた。
それを確認したオレは、
改めてコムイの話について考える。
元帥以外の人間の護衛の任務など、
初めてだ。
オレはコムイに聞いた。
「そりゃあ、いいけどさ。
護衛するのって誰さ?
アクマに狙われてるってことさ?」
「そういうことになるね。
はい、これ追加の資料だよ。
支度は出来てるかい?」
つまり、詳しいことは資料を読めと。
オレは苦笑した。