第9章 あなたの分まで
~ラビサイド~
アジア支部で資料運びをした
次の日の昼。
オレは、アレンがリランに敬語を使う
のをやめたことに気付いた。
「アレンってば、まだ食べるの?」
「もちろん!リランも一応寄生型
なんだから、もっと食べないと
ダメだよ」
「私そんなに消費しないもん」
オレの目の前で仲良く食べている。
リナリーがオレの顔を覗き込んできた。
「ラビ?どうしたの?」
「...別になんでもないさー」
自分でもむっとしているのが分かった。
ー ...なんかムカつくさ。
そう思う自分にもムカついていた。
リナリーに辛うじて笑い返すが、
ため息が出そうになるのを
危ないところで飲み込んだ。
ー 今日は運良く任務入ってるし、
その間に頭冷やすさ...。
昼食を食べ終えると、
すぐに司令室へ向かった。
「コムイ!任務の資料くれさ!」
半ばヤケクソの大声で言う。
「ラビ?元気だねぇ?
資料ならそこだよ~♪
あ、あとその任務なんだけど、
神田君とリランと行ってくれるかい?」
ー 頭冷やそうと思ってたのに...。
という思いは顔に出さない。
「別にいいさー、リランとユウとなら♪」
「下の名前で言うんじゃねぇ、馬鹿ウサギ」
資料を手に取ると不機嫌顔の
神田が入ってきた。
オレの手にある資料と同じものを
持っている。
それを示しながら、コムイに向かって
不機嫌のまま言い放った。
「おいコムイ、こんな任務だったら
こいつとリランで充分だろう。
何で俺も行かされるんだ?」
「こいつ呼ばわりなんてひどいさー...。
って、もう資料読んだんさ?
ユウま~じめ~♪」
「黙れ。斬るぞ」
「こぇぇぇ~.......。」
本気で怖いため、悪ふざけはやめた。
書類に埋もれているコムイは、
顔だけこちらに向けて
ヘラ~と笑う。