第8章 アジア支部にて
運び始めて2時間。
「あああ!もう!
いつになったら終わるんですかこれ~!?」
アレンが頭を抱えて叫んだ。
資料はまだまだ大量にある。
さすがに体中が痛い。
「お腹空いたぁぁ~」
「僕もです~」
きゅるるるる...。
私とアレンのお腹が同時に鳴る。
笑う余裕もないくらい
へとへとだった。
リナリーもさすがに疲れたのか、
座り込んでため息をつく。
神田は時間を追うごとに
どんどん不機嫌になっていて、
話しかけにくい雰囲気だ。
どんよりした空気が
部屋に充満していた。
すると、開きっぱなしのドアから
誰かが入ってきた。
「お疲れさ~みんな!
ちょっと休憩するさ。
支部長がおやつ用意してるってさ」
ラビと、背の低い老人だ。
ぐてっとしていた体を起こして
老人を見る。
老人は私に近付くと、
軽く礼をした。
「初めましてじゃな。
わしはブックマン。
おぬしが新しいエクソシストか?」
私も軽く礼をし返す。
「初めまして。
リランです、よろしく」
表情には出さないけど、
内心かなりびっくりしていた。
ー イメージと違う...。
もうちょっと普通の老人を
イメージしていたんだけど。
ただ、少しゾクッとした。
ブックマンは私を爪先から頭まで、
さっとだけど見ていた。
それだけならまだしも、
全く感情の無い目だったから
少し...ほんの少しだけど怖かった。