第7章 過去
私は、アレンを追いかけることは
しなかった。
ラビを1人に出来なかったからだ。
「アレンは...すごいね。」
ラビの赤い髪を撫でながら呟く。
「私と同い年なのに、
あんな覚悟をしてる。
ラビ、私もあんな風に
人間もアクマも、
救うことが出来るかな?」
意識のないラビは、もちろん
答えない。
私はしばらく黙ったまま
その状態でいた。
大分経ってから、
神田が目の前に着地した。
「神田!ロードは?」
突然現れた神田に驚きつつ見上げる。
「逃げられた。
そいつはどうなんだ?」
仏頂面のまま、
ラビを見下ろす神田。
ー 心配、するんだ...。
意外に思う。
「出血は止めたけど、
まだ危険......。
早く教団に戻んないと」
「モヤシ、さっさとゲートを開け」
「モヤシじゃないです!
勝手にゲート開くと怒られるんですよ。
ゴーレムで報告しないと。
あっ、アクマは全部倒しました?」
神田のすぐ後に続いて着地した
アレンが慌てて神田に聞いた。
神田は不機嫌な顔になった。
「テメェ...その左目は何の為にあるんだ?」
もっともな突っ込みに
アレンは言い返せずにふくれた。
「アクマいないみたいですねっ。
教団に報告してください、
僕がゲート開きますから」
やけくそで言っているのが
よく分かった。
つい笑みがこぼれる。
「おい、聞こえるか?俺だ。
任務完了した。
ノアと遭遇してラビが
傷を負ってる。
モヤシにゲート開かせるからな」
「了解、ゲート開通を許可します」
通信を終えた神田は
無造作にラビを抱えあげた。
開いたゲートの前で
アレンが手招きする。
私は初の任務を終えて
教団へ帰還した。