第7章 過去
~ラビサイド~
衝撃だった。
あんなに明るいリランの過去が
あそこまで悲惨だと思わなかったのだ。
仲の良かったらしい少女の遺体が
目に入った時、オレもアレンも
とっさに目を背けていた。
「何で...あんな...。
自殺しなかっただけすごいさ...。」
アレンでさえ衝撃を隠せていなかった。
悲しみと怒りとで
顔はむしろ無表情になっている。
多分、オレも似たようなもんだろう。
「リランが...リランを助けないと!!
今の過去がリランの闇なら、リランが
かなり危険です!!」
アレンが言った。
慌ててリランに向かって駆け出す。
リランは幻のオレ達に囲まれていた。
話は聞こえる。
幻とは分かっていてもムカつく。
リランに必死で叫んだ。
「全部、幻さ!!
オレ達はリランを汚ないなんて
思わねぇ!!!!」
「助けに来ました!!」
リランは顔をくしゃっと
歪めて涙を流した。
「リラン...」
近寄って、抱き締める。
細くて小さいリランの肩は震えていた。
「.......」
「ん?なんさ?」
何かを小さく呟いたことに
気付いて聞き返す。
リランは顔をあげて、
泣きながら自嘲するように笑った。
「......さっきは助けて
くれなかったくせに。
今度は助けに来た?
意味わかんない。
そんなの信じるわけないでしょ。」
瞳を疑念と憎悪に染めて、
吐き出すように呟くリラン。
違うさ、そうじゃねぇ!
あれは全部幻で.......
口を開いたとき、
腹に激痛を感じた。
「ぐはっ.......」
膝から力が抜ける。
ガクッと膝をつき、
腹に手を当てた。
血が溢れる。
短剣を手にしたリランが
哀しげにオレを見下ろしていた。