第6章 アクマ討伐
歩きながら私は自分の体を眺めた。
ほとんど、と言って良いほど
ダメージは少ない。
「さすが特製のコート...
私、これ無かったら死んでるよね」
「ま、確かに。
オレ達の身体能力を上げる効果も
あるらしいからなーこのコート」
「へー?帰ったら、科学班のみんなに
お礼言わなきゃ」
体をひねってコートのあちこちを見る。
汚れも大したことなさそうだ。
すると、右側の遠くの方で爆発音が上がった。
そちらを見ると、煙がモクモク立っている。
「あっちは...ユウの方か?」
ラビが手を額にかざして目を細めた。
ー じゃあ、神田は無事か...
アレンも無事かな?
左を見るが、分からなかった。
また歩き出すが、
なかなかアクマに出会わない。
「アクマ、どこ行ったのかな?」
「うーん...。
ちょっと屋根の上行ってみるか?
その方が良いかもしんねぇさー」
「良いよ」
ラビに聞くと、
やっぱり気になっていたようだ。
しかし周りには3階以上の建物ばかりで、
外からは登れそうにない。
するとラビが、
「リラン、ここに掴まるさ」
【鉄槌】を地面に置いて、
持ち手のところを指で叩いた。
「こう?」
言われるまま掴まる。
「伸!」
「なっ、きゃああああ!?」
持ち手が伸びた。
一気に屋根の上まで伸びる。
ラビが、悲鳴をあげる私を
抱いて、【鉄槌】から屋根に飛び移った。
あまりの驚きに
ラビの腕の中で硬直してしまう。
一拍置いて、ようやく声が出た。
「こんなことも出来るの...?
ラビのイノセンスって....」
かすれた声だった。
ラビが、ニヤニヤ笑いながら
顔を覗き込む。
「そんな怖かった?
リランはビビりさーww」
「怖くはないけど、びっくりした」
明らかにバカにしている
ラビに怒る気力もなく、
腕の中からするっと抜けた。
「あのさ...」
「リラン!早速アクマさ!」
言いかけたところにラビの
声が被る。
私はイノセンスを発動した。
額の輝きが増す。
「槍よ!」
真っ先に襲ってきたアクマを1体破壊し、
目を走らせた。
アクマはかなり大量だった。
ー 2、30体くらいいる...!
数を数えるのはやめた。
代わりに、アクマ達の中心にいる
1体だけ形の違うアクマを睨む。