第28章 これから、君と
「困ったなあ、どうすればいいだろ」
「...なあ、そろそろリラン貰ってもいい?」
「は?」
人が真剣に悩んでいるのに、
抜けたことを言うラビ。
案の定、コムイさんが面白そうに
私達を見比べた。
「へぇ?君達そういう関係?」
「コ、コムイさんっ!
変な言い方しないでください!」
すぐにアレン、リナリー、ラビの背中を押して
司令室から追い出す。
「私コムイさんと話あるから、
みんな食堂か談話室行ってて!」
「何さそれ!?
どんな話?オレにも言えない?」
「いーえーなーいーっ!」
どうにかこうにか押し出し、
パタンとドアを閉めた。
ふうっとため息を吐きコムイさんの傍に寄る。
「ねえねえ、詳しく...」
「教えません!」
苦笑したコムイさんは、コーヒーを
机に置き、話を聞く体勢になった。
「どうしたんだい?」
「...私、後どれくらいでしょうか」
「どういうこと?」
「歌姫の力を無くしただけじゃなくて、
寿命も削られました。
力による長命も、きっともうありません。
治癒力もないと思います」
「それは明日の実験で分かるとして...
つまり、君の命があとどれくらい保つか
聞きたいんだね?」
頷く。
コムイさんは、困ったな...と呟いた。
― こんなこと、コムイさんに聞いても
仕方ないのに.......。
少し申し訳ない気持ちになる。
空洞を感じる胸を押さえ悩むうちに、
どうしていいか分からなくなった。
「すみません、どうするかは自分で決めます。
今は、イノセンス復活に専念するべきですよね」
「そうだね。その方がいい。
でも、1つだけ言っておくよ」
「はい...?」
コムイさんは、遠い目をして
呟くように話した。
「いつ死ぬかなんて、誰にも分からないんだ。
明日、いや、1時間後に僕は死ぬかもしれない。
そんなことで悩むより、
後悔がないように今を精一杯生きることが大切だよ」
「...はい」
その言葉は、すんなりと胸に収まった。
確かに、その通りだ。
いつ死ぬかなんて誰にも分からない。
カジムだってギルバートだって、
自分が今死ぬと知ってて死んだ訳じゃないのだ。