第28章 これから、君と
~リランサイド~
アザが消えたのは、ラビ達が来てから
1週間経った頃だった。
「シリー、私.......」
「行くのね、リラン」
「..........うん」
セシリアは、諦めたようにため息をついた。
「正直に言うと、行って欲しくないわ。
危険な戦いにあなたを送り込みたくはないもの」
「うん」
「でも、あなたは唯一伯爵に
対抗できるエクソシスト様。
あなたがいなければ、
教団の敗北にも繋がるのよね」
「うん」
頷くことしかしない私に、
セシリアはまたため息を吐き、
頬杖をついて私を見上げてきた。
「短い間だったけど、
あなたは私の妹みたいなものよ。
守りたいと思うのが普通でしょう?」
「そうだね。でも、私だって
シリーを、みんなを守りたいの」
「ええ。分かってるわ。
あなたにはその力がある。
だけどっ...辛いじゃない.......」
唇を噛み締めたセシリアを、
私は優しく抱き締める。
辛いのはセシリアだけじゃないよ。
私も辛い。
でもね、教団にも私の家族がいるから。
大切な人の傍に戻りたいから。
許して、セシリア。
私はもうそんなに長くない。
彼といさせて。
話しているうちに自然と流れた涙を、
セシリアの細い指が拭ってくれた。
「行きな。でもたまには顔出してよ」
「ありがとう、シリー。
絶対にまた来る。
今度は、仲間を連れてくるからね」
笑うと、セシリアは私をぎゅっと
抱き締めてくれた。
「.......お願い、死なないで」
「....ええ、きっと。
大丈夫よ、守ってくれる人がいるから。
本当にありがとうシリー。
みんなにもお礼を言っておいて」
「さよなら」
「さよなら」