第27章 君の傍に
美女に案内されたのは、
大きな建物だった。
「これ全部、貴女のお店ですか?」
「はい」
彼女は無口な性格なのだろうか。
必要最低限の返事しかしない。
「会って頂きたいのは、
この部屋の中にいる人です」
「はあ.......」
頷くと、彼女はドアをノックした。
「誰?」
「私よ。お客様を連れてきたわ」
「どうぞ、入って」
驚いたことに、中の人間は少女のようだ。
ドアを開け、美女が中に入る。
「お客様ってどなた?
シリー、あなたいつも突然ね」
― まさか...まさかまさかまさか。
聞き覚えのある声に、
オレ達は硬直した。
転がるように部屋へ入る。
驚いて顔を上げた少女は、
.......リランだった。
何か言う前に、ばっと抱き付いた。
「ラ、ビ.......??アレンに、神田も?」
「リラン...本当に?」
「生きてたのかよ」
全員、声が震えている。
まさかこんなところで再会出来るとは
思っていなかった。
抱き締めたリランは相変わらず細くて、
ゆらゆらと頼りなさげだ。
「シリー...これどういうこと?」
「ファニーが教団の関係者だって知ったのは、
5日前よ。幹部に連絡したの。
私、サポーターだから」
美女...セシリアは、悲しそうに微笑む。
「エクソシストだったのね、ファニー。
いえ、なんて言ったかしら」
「ごめん、シリー。
騙すつもりはなかったの。
私はリラン。リランって言うの」
セシリアに謝ったリランが、
そっとオレの頭を撫でる。
しかし、リランはハッと身を強ばらせた
かと思うと、オレを勢いよく突き飛ばした。
驚いてよろけるが、踏みとどまって
リランを見つめる。
「何を...」
「駄目!出ていって、近付かないで!!!」
胸を押さえて、苦しげに叫ぶリラン。
オレは、めげずに傍へ行った。
「何でまた離れなきゃいけないんさ!
一緒に帰ろう、もう離さねぇ!」
「駄目なの!今は駄目、もう少し待って!
離れて、近寄っちゃ駄目!
危険なのッ!!!」
「ファ...リラン??」
「シリーお願い!!!
みんなを...追い出して」
言ってる自分も辛いのか、
悔しそうに顔を歪める。