第5章 初任務
開いた『ゲート』から
出ると、そこはイタリアの南東部、
ゲルダークという街の郊外だった。
ここから少し東へ歩き、
街へ入ればアクマが
大量発生しているポイントだ。
そして。
「またテメェか、もやし」
「もやしじゃないです、アレンです」
「何で会った途端いがみ合うんさー...」
神田ユウ、というエクソシストの
人と合流した。
切り揃えられた前髪と、
1つに束ねられた
黒い長髪、鋭い瞳が特徴的な
男の人だった。
端正な顔立ちをしていて、
...口が悪い。
ずっとアレンと口ゲンカしている。
「神田は頭が弱いんですねー。
ああそうか、1か月生きてたら
覚えてやるとか言いつつ、
ホントは全く覚えていられないんじゃ
ないですかー?」
「はぁ?テメェはもやしで
充分なんだよ、このもやし」
「だからアレンって言ってるでしょ!」
ラビも呆れたように
2人を見ている。
「.......止めないの?」
問いかけると、
「そんな恐ろしいことできねぇさー」
と言い、そっぽを向いた。
ー 私が止めるべきなの?これ
不満は若干あったけど、
神田さんには自己紹介しないと。
そう思い直して声をかける。
「あの、神田さん」
「あ"ぁ?お前新入りか?」
物凄い眼で睨み付けられ、
ちょっとびっくりした。
「はい、あのはじめまして
リランです。」
神田さんはジロっと私を
睨み付けてから、
「1か月生きてたら
覚えてやるよ」
そっぽを向いて
眼を合わせることなく
言い切られた。
「神田?それ決めセリフですか?
ダサいですよ?」
アレンがすかさず突っ込む。
私はちょっと呆然としていた。
でも、じわじわとムカついてきた。
ー やるって。覚えてやるって何?
何もしてないのに睨むとか。
少しイラッとした私は、
神田を睨み付けた。
ー ガツンと言ってやるっ
「覚えられないんでしょ?
別に無理しなくて結構です、
新入りと呼んでください。
なんなら新入りさんと
呼んでくれても構いませんよ?」
言い切ってから
ツーンとそっぽ向いてやった。