第25章 襲撃
「エンジェルリングって言うんですって。
この、チェーンの小さい環のところに
好きなチャームを付けて祈りを込めるらしいわ」
指差す先には確かに小さなチャームが
たくさん置いてある。
好きにカスタマイズ出来るブレスレットなら、
どんな服にも合わせられるだろう。
「良いじゃん!それにしよう!」
リナリーと同じ、
細いチェーンを手にチャームを覗く。
ハートやクローバー、天使に悪魔、
様々な種類はあるけれど、
どんな意味が込められているのか分からない。
「あの、チャームに1つ1つ
意味はあるんですか?」
「あるよ。お嬢さんはどんな願いを込めるんだい?」
店主のおばさんは、無愛想にそう聞いた。
少し考える。
― みんなが無事にこの聖戦を
終わらせれるように...。
いや、でも分かりやすく言うと......?
「仲間の無事と、私達の勝利を」
リナリーが、そう言った。
おばさんはもぞもぞ動くと、
2つのチャームを目の前に置いた。
クロスと王冠のチャーム。
― アレンのイノセンスみたい...。
「クロスは災いを除け、生きる力を与えるチャーム。
王冠は権利と勝利のシンボルのチャーム」
リナリーがそのチャームを手に取り、
淡く微笑む。
「アレンくんみたいね...」
― リナリーもそう思うんだ。
後で聞きたいと思ったことは
とりあえず胸にしまい、
私の願いを考える。
「誰かを守る力が欲しい。
彼が、感情豊かに.......」
思い浮かんだのはラビのこと。
でも、感情豊かになってしまったら、
ラビはもっと辛くなるのかな。
黙り込む私をじっと見つめたおばさんは、
また2つのチャームを目の前に置いた。
「羽根は能力を飛躍させるチャーム。
ティアドロップは神の流す涙のしずく」
それ以上は言わない。
含みを持たせたおばさんの言葉は、
何故か安心できた。
2つを手に取り、握り締める。
「これも持っておいき」
会計を済ませた私達を呼び止め、
おばさんが手招きした。
渡されたのは、クローバーのチャーム。
「四つ葉のクローバーは幸運の証だよ」