第25章 襲撃
~リランサイド~
今日は、本部近くの街へ
買い物に来ていた。
リナリーが、「女の子水入らずで行こ!」
と誘ってくれたのだ。
リナリーは元々コムイさんの妨害で
任務は少ないし、私もイノセンスが
壊れているせいで戦えない。
毎日歌姫の検査ばかりの私を気遣って、
気分転換に誘ってくれたんだと思う。
遠くに本部を仰ぎながら、
活気のある街を眺めてゆっくり歩く。
商品を手に取っては
ああではないこうでもないと言い合い、
2人で吹き出した。
「今日はいい天気だね~。
リナリーは何買うの?」
「兄さんにマグカップを買おうかなって」
「わあ、コムイさん絶対喜ぶよ!」
そうかな?なんてリナリーが微笑むと、
街行く人々が振り返るくらい
温かい空気になるから不思議だ。
並ぶ露店に目をやったとき、
小物を売っている店に気付いた。
「リナリー!お揃いでアクセサリー買わない?」
「素敵ね、いいわ!」
可愛いアクセサリーが並ぶ露店に、
2人で思わず
「「わぁぁぁ~...」」
と感嘆の声を洩らした。
少し値段は高めだけど、コムイさんに
お小遣いをいっぱい貰っているから
遠慮はしない。
2人のイメージにぴったりな
アクセサリーを探す。
まずは、
「ネックレスかブレスレットか
イヤリングだよね~。
どれにする?」
「ネックレス...リランはペンダント
持ってるじゃない?」
「私は別に構わないのに...
じゃあ、ブレスレットにしよ!
種類たくさんあるし!」
ブレスレットの並ぶ台に移動し、
色々見ていた時だった。
思わず1つを手に取ってしまった。
「これ.......」
どくろに突き刺さる十字架がデザインされた
ブレスレット。
まるで、アクマと教団を表しているかのようだ。
可愛いデザインではあるけれど。
私達にとって冗談に出来ないそれは、
リナリーの目に付かないよう
隠すようにして戻した。
「リラン!これはどう?」
振り返ると、リナリーが手にしているのは
銀の細いチェーンだ。