第24章 クリスマス
~ラビサイド~
切々と訴えるリランの言葉を聞きつつ、
オレはもうリランを拒否することは
諦めていた。
さっき、真っ青な顔のリランが気になって、
つい気を逸らしていたら。
神田に背中を叩かれた。
― ユウ、オレたちのこと知ってたんかな。
いちいちカッコいい奴め。
刺すように睨む神田から逃げるように...
いや、言い訳か.......。
しゃがみ込むリランを見つけた途端、
オレはもう心を決めた。
リランにはオレが必要で、
オレにはリランが必要で。
リランには太陽が、
オレには孤独を埋めるかけがえのない存在が。
それがこの手の中にあるのに、
わざわざ手放したくはないから。
なにより、リランの傍にいたいから。
「オレもさ」
驚いた顔でオレを見上げるリランを、
そのまま抱き締めた。
「意地悪なこと言ってごめん。
オレも、リランといたい。
もう誤魔化さねぇ。じじいにもちゃんと言う。
絶対ずっと一緒にいるさ」
「ほんとに?」
「ほんと」
ニッ、と笑って額に軽くキスする。
慣れているというか、
そんなキス、男女のことに関しては
オレより遥かに経験者のリランには
挨拶程度にしか感じないはずだ。
だから、頬を赤くして嬉しそうに笑っているのは
絶対にキスのせいではない。
「ありがとう」
可愛くはにかむリランを撫で、
オレは立ち上がった。
「ほら、パーティー戻るさー!
早くしねぇとアレンにご馳走
食べられちゃうさ」
「うんっ」
元気よく返事をしたリランを引っ張る。
が、彼女はふと暗い表情を見せた。
「私...私、幸せになっていいかな」
「今まで不幸だったんさ、当然だろ!」
オレは口下手だから、
あんまカッコいいことは言えない。
それでも、リランが今まで死んだ
ファインダーに引け目を感じているのは
分かるから、せめて言葉を付け加えた。