第23章 この想いをあなたに
~リランサイド~
体がべちょべちょしている。
目を覚ますなり、
全身の不快感に体が固まった。
「あ、起きたさ?」
「え...ラビ?」
「おーいみんな!リラン起きたさー!」
「マジか!大丈夫、リラン?」
心配げな顔をされるが、
状況が分からないばかりに戸惑う。
「リラン、コムリンに捕まってたのよ。
大丈夫?」
リナリーが来て、ベトベトの髪を
気の毒そうに撫でた。
「あれ...コムリン?」
さっきのロボットは解体され、
それにコムイさんがとりすがって泣いている。
「兄さんも、悪気があったわけじゃないの。
ごめんね」
「いや...大丈夫」
私は、体にぺったりまとわりつく
トレーニングウェアをつまみ、
顔を歪めた。
「...やっぱ大丈夫じゃないかも。何これ?」
「特殊な物質でできた液体だって。
解除液かけて溶かしたよ」
「これ、アレンがやったの?」
「えっ!?いや、厳密に言うとコムイさんが...」
ため息をつく。
すると、私を支えていたラビが
立ち上がって歩き出した。
「あ...ラビ!」
迷ったが、声をかける。
しかし、振り返ったラビの顔を見て、
呼び止めたことを後悔した。
「なに?」
とても空虚な笑顔だった。
笑ってはいるけど、感情が抜け落ちた、
そんな感じ。
ぞくっと背筋が寒くなる。
「.......ううん、何でもない」
アレン達は、ラビの笑顔に
疑問を持っていたりしないようだ。
― ラビって、いつもあんな風に笑ってた?
涙が込み上げる。
― やっぱり私、ラビの傍にいたい。
ベトベトも気にしないで、
私は立ち上がった
「お風呂行くから、アレンとリナリーは
先に片付けの手伝いしてて!」
「うん」
「分かったわ」
2人の返事を聞いて、
私はラビの後を追った。