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孤独を無くしたい 【D.Gray-man】

第23章 この想いをあなたに


「ねえ、ラビ!」

早足で歩くラビの背に声を掛けるが。

ラビは無言で歩き続ける。

「待って、お願いだから待って!」

「オレに近寄るなッ!!!」

痺れを切らしたラビが、
たまりかねたように怒鳴った。
その顔は紛れもなく怒っていて、
私はそれ以上言葉を続けられなくなる。

そして、私はラビの瞳の奥にある
哀しげな色に気付けなかった。

ただただ、ラビを怒らせたくなくて、
泣きそうになりながら謝る。

「ごめん...なさい」

「.......風呂入った方がいい。
 風邪引くさ」

「うん」

しばらくして顔を上げたら、
もうラビはいなかった。

「おい」

声を掛けられ、びっくりしながら
振り返ると神田がいた。

「あ...神田。なに?」

笑って聞くと、神田は不機嫌そうに
眉をひそめた。

「...お前、笑ってんのか?」

「は?」

「それで笑ってるつもりか?
 鏡見てこい、ひどいぞ」

顔をひどいと言われて、私は唖然。
額を押さえてため息を吐くと、
首を振った。

「...自分で分かってる」

「ふん」

「.......あのさ」

立ち去ろうとした神田を呼び止める。

「神田は、孤独じゃない?」

「はぁ?」

呆れたような顔をした神田は、
ぶっきらぼうに、

「騒がしいのが周りにいるからな」

と言った。

「ごめん、変なこと聞いた」

「...ああ」

神田は物言いたげな顔をしているけど、
私は気付かないフリをする。

「お風呂行かなきゃ」

誤魔化すように言って、
私は歩き出した。
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