第23章 この想いをあなたに
あれから、司令室へ行ってリナリーに
謝っておいた。
今日のうちに割れたのを撤去して、
新しい鏡を運んでおいてくれるそうだ。
今は、鍛練場でイノセンスの試行錯誤をしていた。
「どうすれば...復活させられるかなぁ...」
ティキによって壊されたことは、
一応コムイさんに報告しておいた。
アレンも一度粉々にされたことがあるらしく、
「でも復活させられたから
リランもがんばれ!」
と言われた。
すう、と息を吸い込む。
「発動っ!」
強く言い、額に意識を集中させる。
青い光が空気中に広がり、散った。
ふわふわと力の残滓だけが
体にまとわりつく。
「ダメだ...発動出来ない」
ため息を吐いた。
発動を止め、歩き出す。
「普通に鍛練しよーっと」
色々器具が置いてあり、壁には
誰かのメニューが書かれた紙が貼ってある修練場。
その誰かのメニューを全部で30回繰り返し、
全身汗だくになってから鍛練をやめた。
「はっ...はっ...はっ...」
一度深呼吸して息を整える。
「エクソシストになってから、
大分身体能力上がったな...」
拳を握ったり開いたりして
実感を噛み締めた。
究極に生死の危険に晒される状況だと、
否が応にも進化する...
という話を科学班に聞いた気がする。
その上イノセンスに選ばれている訳だから、
「もはや人間じゃないかもね」
苦笑した。
軽くストレッチをして
ウェアのシャツを脱ぐ。
お腹や肩が露になっても、もう
傷跡を気にする必要はない。
困惑と嬉しさが入り混じり、
またため息を吐いた。
シャワーを浴びてから、
図書室へ向かった。
「「あ」」
人気のない廊下で、ばったりラビと出くわす。
さっきの今だからかなり気まずい。
さりげなく視線を逸らして
立ち去ろうとするラビを、私は呼び止めた。
「あ、ねぇラビ!」
「なに?」
そこまで嫌そうな顔をしなくても。
気まずさが倍増した雰囲気の中、
私は意を決して口を開いた。