第23章 この想いをあなたに
「汚れてるけど。それでもよければ抱いて?
私の中から過去を追い出して、
ラビのものにして」
ラビが好きなのに、もっとロマンチックな
告白を夢見ていたのに。
― 所詮、夢だったな.......。
汚れている私が、幸せを手に出来るわけない。
というより、こんな体で幸せになりたくない...
そんな気持ちに気付いてしまった。
― ならせめて、最後はラビがいい。
ささやかなワガママのつもりだった。
硬直していたラビが、
不意に私を押し倒す。
抵抗せずに見上げると、
ラビは辛そうに顔を歪めていた。
「...何でそんな投げ遣りになるんさ。
好きな女抱けたって、ちっとも嬉しくねぇ...」
「へ.......?」
失望したような顔で言われて、惚ける。
「今、好きって....?」
目を見開くと、ラビはハッとした顔で
また固まった。
でも、すぐに苦い顔をして私の上からどく。
「忘れてくれさ。頼む」
「どうして...」
ベッドの上に起き上がり、
部屋を出ようとするラビに手を伸ばした。
「叶わねぇってことは知ってるさ。
リランの好きな男はオレじゃない」
驚く。
― どうしてそう思うの?私は...
「私は...」
「言わなくていい。
好きな男に、抱いてくれなんて
普通言わないだろ?
過去を精算するために、傍にいた男なら
誰でも良かった、違う?」
― 軽蔑されている?
ラビに嫌われるかもしれないという
焦りで、必死に言い訳をしようとした。
「違うの、そうじゃなくて...」
「オレはそんな男の1人にはなりたくねぇさ」
そう言ってチラリと私を見たラビは、
軽蔑はしていなかった。
ただひたすらに、悲しそうだった。