第23章 この想いをあなたに
~ラビサイド~
「あ、リラン...」
走ってきたリランを見つけて
声を掛けたのに、
リランは気付かなかったようで
あっという間に行ってしまった。
思い詰めたような顔をしていたが、
何かあったのだろうか。
― 傷が消えたことと、関係あるのか...?
傷が消えれば、喜ぶと思ったのに。
とても喜んでいるようには見えなかった。
「...嫌な予感がする」
独り言を呟いて、オレは
リランの部屋へ向かった。
そっと中の様子を窺おうとすると、
中からバリーンッ!という何かが割れる音が響く。
オレは、リランの部屋へ飛び込んだ。