第23章 この想いをあなたに
震える手で、お腹を撫でる。
火傷や、切り傷があった腹は
全て新しい皮膚に覆われて
真っ白だった。
足も震えて、姿見の前に
ペタリと座り込む。
― ...私...私.......!
今まで傷も自分も、傷付けた人間達も
全て憎んでいた。
ラビやみんなのおかげで
自分を憎まなくなっただけで、
傷付けた人間を許したつもりはない。
― でも.......
その傷が無くなってしまったのなら、
当てのないこの憎しみはどこへ向ければいい?
「ふ...もう、訳...分かんない...」
自嘲と共に、膝にパタパタと涙が落ちた。
「誰...これ.......?」
鏡に手を伸ばし、映っている腹に触れる。
見たくなくて、拳を握り締めると、
力一杯叩き割った。
バリーン!!
飛んだ破片が、拳と頬を傷付ける。
俯けばまた腹が目に入ってしまうから。
両手で目をおさえ、
上を見上げて唇を噛み締めた。
嗚咽も涙も、堪えることは出来なかった。