第23章 この想いをあなたに
ふと、意識が覚醒した。
ボンヤリとした思考は、
うまく働いてくれない。
周りに人がたくさんいるようだ。
― 私...ここ.......何を...??
目を開く。
焦点が合うなり、目の前に
コムイさんの顔が現れた。
「おーい。起きたかーい?」
「ふわ...コムイさん...ええと...??」
視線をさまよわせる。
徐々に、状況を理解した。
「...あれからどのくらい経ちました?」
「お、意識はハッキリしてるみたいだね。
あれから3時間だよ~。
今は17時くらいかな」
コムイさんの言葉を聞きつつ
体を動かそうとすると、
痺れているようで動かない。
「動かない方が良いですよ。
傷を消す薬は、大分強いものを使ったので」
声を掛けてきたのは、
研究者の1人だった。
「本当に傷を...?」
「はい、古い皮膚を特殊な薬で剥がし、
皮膚の成長を促して新しい皮膚で覆いました。
うっすらとなら跡は残っていますが、
とても綺麗になりましたよ」
硬直した。
今すぐにでも確認したいのに、
それが出来ないからもどかしい。
「これは調査の前段階何ですけど...。
思った以上に本人の体に負担が掛かってしまったので、
今日はこれくらいにしましょうか」
「...はい」
「動けるようになったら、
着替えて出ていってください」
「...はい」
10分程度じっとして、そろそろと
ベッドから降りた。
ついたての奥でまた着替える。
なるべく、体を見ないように...。
白い服を丁寧に畳み、
研究者の1人に手渡す。
挨拶もそこそこに自分の部屋へ
走って帰った。
バンッ!
激しく音を立ててドアを閉め、
ワンピースを脱ぎ捨てる。
ぎゅっと目を瞑ったまま、
姿見の前に立った。
ゆっくりゆっくり目を開いて、
食い入るように
自分の体を見つめた。