第21章 壊れる
~リランサイド~
ふと、村を凝視していた視界の隅に
白い光が現れたことに気付いた。
呆然としたまま、特に深い意味もなく
それを見つめる。
白い光は、空間から突然伸びるように
下へと.......
― あれ...まさか、方舟!?
間違いない。
ティキは気付いていないが、
あれは教団の方舟だ。
― どこからか、情報を得てきたんだ...。
アクマが村を襲っているって。
方舟ってことは、確実にエクソシストが
来たはず。
リナリー...アレン...まさか、ラビ?
思考をフル回転させる。
― ここにはLv3が5体とノア2人...。
そのうえ、私が人質になってる。
後ろにはゲートがあるし、
呼べばジャスデビも来るかもしれない。
どう考えても教団が不利だ。
そのとき、
ドーン!
爆発音が響いた。
「ヒューッ!眼帯くん?いつの間に?」
口笛を吹くティキ。
私は、青ざめていた。
空高く昇る炎の蛇。
ラビのイノセンス。
「ラビ.......」
初めて、恐怖が襲った。
ラビを信じていないわけじゃない。
倒してくれると思っていたい。
でも――――。
ラビが、死ぬかもしれない。
そんな恐怖が頭を痺れさせる。
― 私のせいで?ラビだけじゃない。
みんなが死ぬ.......。
精神を追い詰められた状態での
ラビの登場は、充分すぎるほど
破壊力を持っていた。
「.......ティキ、帰ろう」
声をかけると、
村を楽しそうに見ていたティキが、
訝しげに見下ろしてきた。
「ジャスデビが待ってるよ。
トランプの続きしたいって言ってたの。
次はロードも...ティキもやろうよ。
ね、だから帰ろう?」
― みんなを確実に守るためには、
こうするしかないから。
虚ろに笑えば、
ティキはなぜか辛そうな顔をした。