第21章 壊れる
~ティキサイド~
帰ってくると、
ジャスデビとリランがカードゲームをして
遊んでいた。
「.......何でお前らそんな打ち解けてるの?」
呆れるしかない。
ジャスデビは俺を見上げると、
唇をぶーっと尖らせた。
「てめぇには関係ねぇだろ!」
「ヒヒッ、そうそう!」
「はいはい、分かったから喚くな」
ひょい、とリランの手元を覗き込む。
一瞬身を固くしたリランに苦笑しつつ、
ジャスデビのカードも覗き込もうとすると
「見んじゃねぇ!」
デビットに足を蹴られた。
「ほら、続きやるよ!続き!ヒッ」
ジャスデビとリランは放っておき、
ロードと共に部屋の隅にある
机についた。
「リラン、笑ってるねぇ~」
「そうだねぇ。いいの?」
「いいよぉ~。リランには
楽しんでほしいもん」
「あ、そ」
吐き出した煙でプカプカと輪を作る。
リランは、新しい服に着替えていた。
ロードが着せたにしては珍しく、
無地の黒いワンピースだ。
首まで隠れているのに
肩は出ているという斬新なファッション。
足元は裸足だが、足首は
見るからに頑丈そうな鎖で繋がれていた。
腰にも重そうで凝っているデザインの銀の
ベルトを緩く巻き、
ぺたんと床に横座りして座っている。
下ろしっぱなしの茶髪から覗く耳に
イヤリングも付けられているのも見て、
俺はため息をついた。
ロードは元々、可愛いものや綺麗なもの、
それに気に入ったものを飾り立てる趣味がある。
似合ってはいるものの.......
― リランちゃんには明るい色が似合うだろうに。
「...ティッキーってば!」
「あん?」
突然ロードの顔が目の前に現れた。
考え事を中断し、首を傾げる。
「僕の話聞いてたぁ~??
あの手紙、どういうつもり?」
笑みが溢れる。
「あれま。気付いてたの?」
「僕を誤魔化せると思わないでよね~」
ロードは元の椅子に戻り、足を抱えて座った。
「少年と久しぶりにゲームをしてみたかった」
そう言うと、ロードは大きな瞳を
輝かせる。
「どんなゲーム?楽しい?」
俺は頬杖をついてロードの方を向いた。