第21章 壊れる
クリスマスまで後3日。
気持ちが急く。
リラン...リラン...
リランを失いたくない。
傍にいるのが当たり前になっていた。
リランの温かさは、冷えた心を暖めてくれた。
寂しさを噛み締める。
― リランも、同じなんかな。
ようやく幸せを手に入れたリランを、
もう一度この手に。
失くして、初めて気付いた。
「.......好きだ」
ほんの一時でもいい。
歴史の闇に葬られる彼女を、
この記憶に焼き付けたいから。
ブックマンとしてじゃなく、
『ラビ』として、
彼女を愛したい。
だから
「絶対、取り返す」
ブックマンに情や愛など不要。
恋愛なんてもってのほかだけど。
― リランを取り返して、
抱き締めるくらいはしてもいいよな...?
そうすれば、
この気持ちにもケジメがつけられると
自分に言い訳をして。
手がかりを探すために、
方舟のゲートをくぐった。