第20章 家族
指で傷をなぞる。
「折角キレイなのになぁ...。
リランちゃんは、もう汚れきってるんだぜ?
今さら良い子ぶってどうする?」
悪魔の囁きは、優しく優しく、魅惑的に。
「望めばいい。くだらねぇ人間の死を。
リランちゃんには、実行する力がある。
俺達と行こう...そうすりゃ、少年達は助かって
他の人間共は滅びる」
やっと顔をあげたリランは、
くしゃくしゃに歪んだ顔をしていた。
内心、少しだけ動揺する。
「.......私も、人間だから」
その一言に、俺は眉をひそめた。
「愚かだね」
ロードだけが理解したようだ。
「どゆこと?」
「ティッキー、あの男殺して」
「良いの?てゆーか意味分かんないすけど」
「分からなくていいよ。
ただ、リランが僕らを
拒否したんだ。それだけ分かってて」
納得は出来ないものの、
珍しく頑ななロードの顔に
俺は肩をすくめ、頷いた。
「はい、じゃあ君。
あの子のせいで死ぬから」
「は?」
ギルバートに笑顔で言ったら、
彼は訳が分からない、という顔をする。
「いや、だからまぁ.......こーゆーこと」
ニヤリと笑った俺は、
ギルバートの体を手で指し貫いた。