第20章 家族
彼の顔には、見覚えがあった。
『ノアの娘』そう言っていたうちの1人。
― そんなこと、今は関係ないのに.......
黒い感情が沸き上がる。
「どうするの?リラン?
守るべき『家族』が目の前にいるよ?」
追い打ちをかけるように、ロードが言った。
ロードは、知っているのだろうか。
彼が私に何を言ったのか。
状況が理解出来ないらしいギルバートは
ティキに捕らえられた状態で
すがるような視線を私に向けている。
頭を振り、冷静になろうとした。
「リラン、思い出して?
人間に何をされたのか」
しかし、ロードはそれを許さない。
「ねえ、リランの親友を殺したのは誰?
リランを汚したのは誰?
みんな人間だったでしょぉ?
みんな死んじゃえって、
思ったでしょぉ?」
違う。アレン達みたいに良い人だっている。
「リランが望むなら、アレン達くらいは
助けてもいいよ?
それならいいでしょ?」
「そんな...アレン達だけなんて...」
「だって、どうでもいいじゃ~ん!
他の人間なんて眼中にないでしょぉ?
アレン達を守れればそれで良いんでしょぉ?
もう一度聞くよ~?
リランのだぁいじな親友を殺したのは誰だったぁ?」
耳を塞いだ。
もう、どっちを選ぶべきか分からなかった。