第20章 家族
「僕ら情報収集得意だし~?
それに、何千年と戦っている相手の
情報くらい、持ってても不思議はないでしょ?」
「他には何かあるの?」
「これ以上必要?」
「いらない。
じゃあ目的を聞くね、どうして欲しいの?」
ティキが肩をすくめた。
「直球だな~」
ロードはにっこり笑う。
「リランは理解が早くて助かるなぁ♪
僕らに、歌姫の力を貸して欲しいんだ♪」
「この力について質問してもいい?」
「良いけど、答えないよ?」
がっかりした。
私はこの力が何なのか分からないままだ。
「えーと...私、断るね」
考えた結果だった。
確かに、教団は残酷なことをしているけど。
「伯爵が世界を滅ぼすのをやめればいいじゃん。
それに、正義だとかは勝者のみが言える特権だよね。
要は、勝てばいいんでしょ?
私は、私の家族を守るためにこの力を使う」
ふと真面目な顔になったロードは、
困ったようにため息をついた。
「それは無理だね.....。
リランは、僕らの家族なのに。
教団を、家族と思えるの?」
任務の前にあったごたごたを思いだし、
ドキッとした。
「残念だけど、リランに選択肢は無いよ。
ごめんね。
ジャスデビ~、連れてきて」
「おう、分かった」
ロードの言葉に、私は眉をひそめた。
ジャスデビの背中を目で追う。
「もしリランが言うこと聞かなかったら、
こいつを殺すよ」
「っ!?」
ジャスデビに連れてこられたのは、
白いコートを着た、
ファインダーの青年だった。
私が椅子から立ち上がり、
彼に駆け寄るのをロードは止めなかった。
「あなた、大丈夫!?
ケガは!?」
「俺はギルバートです。
あの、あなたは....?」
パッと見、ケガは無いようだ。
安堵し、彼の手を握り締めた。
「私はリラン。こんな格好だけど
エクソシストよ。あなた、ファインダー?」
「エクソシスト様!?なぜここに!」
その返事が答えだ。
「説明すると長いの。
イノセンスが使えれば、
逃がしてあげられたんだけど...
ごめんなさい」
「いえ....そんな」
「はい、そこまで」
謝ったところで、ティキが私とギルバートを
引き離した。
「で?どうすんの、リランちゃん?」
私は、迷って俯いた。