第20章 家族
~リランサイド~
「ん.......」
うっすら目を開くと、
私は知らない空間にいた。
「あっ、リラン~♪
起きたぁ?」
飛び付いてきたのはロードだ。
私は慌てて自分の格好を見下ろした。
大きくて立派な椅子に座らされ、
悪趣味な黒いフリルドレスを着せられていた。
耳元でシャラシャラと飾りが揺れ、
ご丁寧に髪も結われている。
膝丈のドレスに、履くのが物凄く面倒そうな
編み上げブーツを合わせて履かされていた。
「.......何コレ」
顔をしかめて呟くと、
ロードが嬉しそうに笑う。
「えへへ~♪
どう?可愛いでしょぉ~♪♪」
「コート返して」
「だーめっ!」
苛立った気持ちを落ち着けようと
深呼吸をする。
このドレスは、まるで
客の為に着せられていたあのワンピースのようだ。
嫌な気分になってきた。
「良いじゃん。似合ってるぜ?」
声を聞いて、初めてその存在を認識した。
「テキ...だっけ?
貴方に言われても嬉しくない」
「いや、確かに敵だけど俺ティキだから」
「あらごめんなさい、イキ」
「キャハハハ!
ティッキーってば、嫌われてるぅ!」
悲しいね...と嘆くティキ。
すると、また新しい声が響いた。
「オレ達を忘れんなよ!」
「ヒヒッ、デロもいるよ!ヒッ」
あの双子が、互いに銃を突き付けあっていた。
「あれ?お前らバイトじゃねーの?」
タバコをふかしながら、
ティキが聞く。
「ああ!?何でオレ達が
クロスの借金を返さねぇといけねぇんだよ!?」
「ホントだよねっ!クロスまじムカつく!」
うがーっと叫ぶ2人の言葉に、
私は驚いた。
「クロスって...元帥のこと?」
「それ以外に誰がいんだよ!?」
予想以上に食い付かれる。
「師匠に会ったことあるの?」
「僕らはクロス暗殺の担当なんだよ、ヒッ」
「あいつちょこまか逃げやがって..........。
はあ!?」
騒がしいデビットが、ダンッと私に顔を寄せた。
「お前今、師匠って!」
「最近、私も弟子になったの。
でも...すぐ、どっか行っちゃって.......。
話したかったのに..........」
私は落ち込んで俯いた。