第20章 家族
だが、頭痛と共に何か...
大事な何かが欠けているような気がした。
心細くなる。
そして.......
私は気付いた。
「イノセンスが...発動出来ない...!?」
思わず声を洩らす。
― これじゃ、戦えない!
こいつらを倒せない!
半分壊すとは、このことだったのだ。
「立てる?」
ティキに聞かれ、強がって立とうとした。
「おいおい。立ててねぇじゃんよ」
ふらついた途端、ジャスデビに左右から
支えられる。
「リランちゃん、俺達と来てもらうぜ?」
「どこへ連れていく気?」
「我らが千年公のもとへ」
ニヤリと笑ったティキを
私は睨み付けた。
「行くわけないでしょ」
「じゃあ、逃げられるの?ヒッ」
「戦えねぇくせに逃げられるわけねーじゃんっ」
馬鹿にするような2人を、
逆に鼻で笑ってやる。
「ふんっ、敵の指示にいちいち従う
馬鹿がどこにいるの?
戦えないからって降参するわけないでしょ、
頭の中よっぽどおめでたいんだね」
唖然としたノア達。
ジャスデビが怒りで顔を真っ赤にした。
「はぁ!?てめぇ、さっきから
オレ達のこと馬鹿にしてんじゃねーよッ」
「ムカつくムカつく!
こいつちょームカつく!ヒッ!」
「アハハハハッこりゃ傑作だな!」
「てっめぇティキ!笑ってんじゃねぇ!!」
腹を抱え爆笑するティキが、
私を見た。
「でも、来てもらわんと困るんで。
ちょっと...失礼」
言うなり、お腹を殴られた。
「っ!?...ゲホッ!」
意識が遠のく。
倒れる体を誰かに抱き止められた
感覚を最後に、私は気絶した。