第20章 家族
「じゃなくてさ~.......。
何でお前らここにいんの?」
私の肩から手を離し、
頭を押さえるティキ。
「だってよ、暇だったんだ!」
「めっちゃ暇だったんだよ、ヒッ!」
「そしたら面白れぇ話してたから
付いて来たんだよ!」
「あのな..........」
私は、その会話をほとんど聞いていなかった。
ティキとデビットの間をすり抜け、
逃げ出す。
「お?」
― 早く、早くアレン達をっ.......!
でも、肩を押されて
地面に倒れ込んだ。
「うっ...」
「逃げてんじゃねぇよ」
「逃げられると思った?ヒッ」
転がされ、仰向けにされた。
目の前に銃口が突き付けられる。
「そう乱暴にするなよ。
まぁでも...また逃げられると厄介だし...
『半分壊す』か?」
不気味な笑みを浮かべたティキが、
私の額に触れた。
前髪をかきあげ、イノセンスを確認する。
ぞっとした。
― 『半分壊す』って...イノセンスを!?
「やめてッ!」
叫ぶと、ティキがジャスデビを
見上げた。
「おい、手と足押さえてくれ」
「おー」
デビが手、デロが足を、それぞれ押さえてきた。
ティキは横に膝を付くと、
私の口を塞ぐ。
「ちょっと痛いが、我慢してくれよ」
そう言うと、額に手をかざす。
「んん!」
何をするのか。
恐怖に目を見開いたとき、
額に激痛が走った。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
絶叫はティキの掌に阻まれた。
跳ねる体をジャスデビに抑え込まれる。
ティキの手から青白い
稲妻のようなものが現れ、
イノセンスを傷付けていた。
実際は30秒程度だっただろうが、
永遠にも思えた痛みは、突如終わった。
「こんなもんかな?」
ショックで体が弛緩していて、
手も動かせない。
こんな痛みは1年半ぶりだ。
「おーい、リランちゃん大丈夫か?」
敵に抱き起こされ、心配されるなんて。
「触らないでッ!!」
パシッと手をはねのけたが、
意識が一瞬ふらりと飛んだ。
慌てて手をつき、頭を押さえる。
「何をしたの.......」
声を絞り出すと、
ティキは笑った。
「半分、壊させてもらったよ。
君のイノセンス。
完全に壊すには、君を殺さないといけないからね」
半分壊れたイノセンス?
わけが分からない。