第19章 過去のトラウマ
何気なくそちらを見た時、
時間が凍った。
「ああ、ではその件について
よろしくお願いしますよ?」
「はい、分かっています」
コムイさんと話す、中肉中背の男。
高級なスーツをぴしっと決めた貴族だ。
「.......う...そ....何で..........??」
固まった私に気付いたラビが、
怪訝そうに顔を覗き込んできた。
でも、気にならない。
視線は、男に釘付けだった。
忘れもしない、あの顔、あの声。
私を、地獄へ突き落とした張本人が、そこにいた。
「ポルディ子爵様.......」