第19章 過去のトラウマ
ああ、そうか.......
「みんながいないと、私の世界が
白黒に戻っちゃう。
私の世界にとってかえがえのない色は、
そのままみんなのことなんだ。
それを失うのは.....耐えられないよ」
まとまりのない、むちゃくちゃで
意味不明だった今までの話が、
突然形を持った。
「かえがえのない色を...みんなを守る為に、
私は戦いたいと思った」
とりあえず言い切って、
ラビを見る。
ラビは、ぽかん、とした顔をしていた。
― ああ、話が飛躍しすぎてて理解出来ないよね.......
なんとか説明しようと思ったけれど、
上手く言葉が思い付かない。
「それで...えっと......
私を、必要としてくれるしてくれないは
関係なくて、ただ、
私がみんなを守りたいなって...
今、そう思ったの」
「ぶはっ」
!?
ラビが突然吹き出した。
逆にぽかん、とする私は
爆笑するラビを見つめた。
「はははっ、リランの言ってること、
9割分かんねぇけど、分かる気がするさ!」
「へ?」
くくく、と笑いを収めたラビは、
笑いすぎて目尻に滲んだ涙を
拭きながら、私を優しく見つめた。
「かけがえのない色...仲間。
リナリーみたいさ」
「リナリー?どうして?」
― 何でここでリナリーが出てくるの?
訳が分からない。
「アレンから聞いたんさ。
目を閉じて、世界を思い浮かべてみ」
「.....たくさんの色が、グラデーションになってる。
1つ1つ、アレンだったりリナリーだったり
ラビだったり、私の心だったりする。
それが、どうしたの?」
目を開くと、ラビは上を見上げていた。
「リナリーの世界には、
教団のみんなしかいないんさ。
教団がリナリーの全てで、
1つでも欠けたら、
それは世界が欠けることになる。
詳しいことはリナリーに聞いた方が良いけど。
つまり、リランとリナリーは
似た者同士ってことさ」
分かるような、分からないような。
後でリナリーに聞いてみよう、と思った。
「じゃあ...司令室行かない?
私、リナリーに会いたい」
「おっけー、んじゃ行きますか」
まるで私がそう言うのが
分かっていたように、ラビが笑う。
2人でもう一度吹き出して、
私達は歩き出した。