第19章 過去のトラウマ
~ラビサイド~
リランはアジア支部に行ったらしい。
俺は、リランを追いかけて
あちこち走り回っていた。
「よーっす」
ゲートを潜り抜け、
バク支部長に手を振る。
「ラビ!どうしたんだ?」
「いやぁ~、リラン探してるんさ。
見かけてねぇ?」
「彼女なら、フォーのところだろう。
10分ほど前に見かけた」
― フォー...ここの守り神の少女のことか。
居場所に見当を付けた俺は、
支部長の肩を叩いた。
「そっか、さんきゅー!
俺ちょっと行ってくるさ」
「あ、ラビ!」
背中を向けた瞬間に呼ばれる。
「んー?何ー?」
支部長は真剣な顔をしていた。
「リランが、かなり弱っているみたいだな」
「あー...まあ、そうさね」
気まずい思いで頬をかく。
支部長は、真剣な顔のまま続けた。
「なるべく、傍にいてやってくれ」
複雑な感情が込み上げるのを感じ、
押し込む。
「当たり前さ」
親指を立てると、
俺はすぐにリランの元へ向かった。