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孤独を無くしたい 【D.Gray-man】

第19章 過去のトラウマ


視界の隅で、テーブルに置かれた
アレンの手が握りしめられるのを見た。

慌ててアレンの肩を押さえる。

「アレン!アレン!ストーップ、ストップ!」

小声で叫ぶ。
怒りの表情で私を見たアレンは、
今にも怒鳴りそうな雰囲気だ。

「やめて!騒ぎを起こしちゃダメ!」

「でも!」

「そんなことされても嬉しくない!」

気の抜けた顔をするアレンが、
体から力を抜いた。
ほっとして肩から手を離す。

「嬉しいとか嬉しくないとかいう
 話じゃないと思うけど.......」

はあああ、と息を吐き出す。
心底呆れ返った様子のアレンに、
私は更に小声でごめん、と呟いた。

「怒ってくれるのは嬉しいけど...。
 ダメだよ。みんながああやって言うのは、
 私が信頼されてないってことでしょ?
 大丈夫だから。もっと鍛練して、
 歌姫の力も使えるようになれば
 みんな認めてくれると思う」

「落ち込んだ顔で言われても、
 説得力ないよ」

思わずアレンを睨む。
憮然とした私より、
もっと憮然としたアレンが
頬杖をついて食堂を眺めた。

すると、それまで我関せずと焼肉に
かぶりついていたラビが、
おもむろに顔をあげた。


「なんか...良い子ぶってねぇ?」

痛烈な一言。

唖然。次いで絶句。

ラビとは思えない言葉に、
私は思わず立ち上がった。

ガタンッと椅子に当たる。

「何.......それ」

目の前が真っ赤になった。
アレンがラビの胸元を掴む。

「ラビ!何てことを言うんですか!?
 リランに謝ってください!!」

「いや、その...」


バシンッ

手にじわりと痛みが広がる。
でも、目の前でラビが
頬を押さえ、驚いた顔をしているのを見て
ハッと我に返った。

「あ.......」

食堂も静まり、その場にいる
全員に注目されている。

「どうしたんだ?静かだな~」

リーバー班長の声が響いた。

居たたまれなくなった私は、
身を翻してリーバー班長の横を
駆け抜けた。

「あっ、おいリラン!?」

呼び止める声を無視して、
溢れる涙を拭うことなく。
私はひたすら走った。
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