第18章 歌姫
お母さんの、形見であるネックレス。
それが入っているペンダントが
光っていた。
― 直接は見ていないけれど、
これも手がかりの1つなのかな...。
だとすれば、やはり
調べるべきなのだろうか。
しかし、形見を他人に触られるのは
抵抗があった。
「...ペンダントが光ってたのは、
何か関係あるのでしょうか?」
逡巡した結果、私は
ペンダントを指しながら
ブックマンに尋ねた。
「ペンダント?」
「母の形見を入れたペンダントです。
ラビが、光ってたって」
「見せてくれるかの?」
握りしめていた手を開き、
体温で温まったペンダントを
ブックマンに渡す。
「ラビ、具体的にどう光っていた?」
ペンダントをじっくり眺めつつ、
ブックマンがラビを呼んだ。
「光ってたのはこの、
ネックレスの石さ。
黄色くて強い光を出してた」
ネックレスの飾りだ。
小指の爪半分くらいの大きさの
丸く白い石が銀の金具に
収められている。
銀の細いチェーンのネックレスだが、
ペンダント自体は金の装飾に
金のチェーンだった。
「解析に回そう。
リーバーくん!」
コムイさんが即座に
リーバー班長を呼ぶ。
「このペンダントの解析を頼むよ。
なるべく急いでくれ」
ペンダントを手にした
班長が、足早に去っていった。
こうなることは分かってたけれど。
私の同意もなくペンダントを
持っていかれたことは、
かなり不愉快だった。
「瞳が赤かったのは
何でだったんですかね?」
班長の背中を半ば睨むようにしていた
私の隣で、アレンが手をあげて聞いた。
「分からぬ。
歌姫は本当に謎が多い.......」
「なら、彼女を調べ尽くせば
いいのではないのかね?」
ブックマンが言い終わる前に、
声が響いた。
「ルベリエ長官!」