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孤独を無くしたい 【D.Gray-man】

第18章 歌姫


「血を濃く引くってどういうことですか?」

「いわゆる先祖返りという
 やつじゃろう。
 ワシらには13人のノアの血が
 入り混じっているが、
 歌姫は第9使徒の血の割合が
 異常に高い。
 そして、歌姫は例外なく長命じゃ。
 150年ほど生きたという例がある。
 そうでなくても120年は生きるじゃろう。
 高い治癒力もあったな」

納得する。
私の怪我の治りが早いのは、
血のせいなのだ。

「しかし、歌を唄うというなら話は別じゃ。」

「え?」

「歌を唄うという行為は、
 歌姫にとって命を削ることじゃ。
 命(歌)を以て奏者に力を与える。
 それが歌姫じゃ」

それは、つまり...

「さっき歌ったことで、
 リランの命が短くなった
 ということですか!?」

アレンが仰天して叫ぶ。
全員がまた驚きに包まれる中、
ブックマンは冷静だった。

「ほんの4、5年程度じゃろうて。
 何も焦ることはあるまい?」

この国の平均寿命は60歳だ。
120年も生きたいとは思わないし、
その中の4、5年なら大したことではないと思う。
でも、周りは納得いかないようだ。

「命は命だもの...。大変だわ」

リナリーの言葉に頷き合う。
私は手を振った。

「いいっていいって!
 事故だし、しょうがないよ!
 話がまた逸れちゃう!」

「話が進まないさ~.......」

黙っていたラビが、困ったような
苦笑いを浮かべる。
ラビにとっては初耳の記録で、
聞きたくて仕方ないのだろう。

「全部歌ってたら、どのくらい
 寿命が縮んでたんでしょう?」

わざと暗い質問をして、
無理やり全員を黙らせる。

「10年.......20年程かの」

「大分差があるんですね.......。
 歌姫が奏者に与える力って何でしょう?
 千年伯爵に対する
 切り札になり得ますか?」

今度はコムイが尋ねた。
結局、歌姫という存在は
千年伯爵に対して有効なのか。


「元々はノアの一族の力じゃ。
 無益ではないじゃろう。
 じゃが、歌姫の力については分からぬ。
 さっきも言った通り、
 歌姫と奏者が同時に
 存在したことは無いからの。
 もちろん記録も無い」


しかし、ブックマンは
是とも否とも付かない言葉を返してきた。
判断はコムイさんに任せるとして、
私はもう1つ気がかりを
見つめた。
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