第17章 ノアの方舟
布団に潜り込んで
しばらくした時、
私の耳に何かメロディーが
聞こえてきた。
微かにだが、耳を澄ますと
アレンが方舟で弾いた
あのメロディーのようだ。
「アレンが弾いてる...??」
私は引き寄せられるように
ベッドから降り、
ふらふらと方舟の方へ
歩いていった。
ゲートに入れば、
そこは前にも見た白い街並み。
そして、メロディーの音が
もっと大きく聞こえる。
「どこだろう...」
アレンのいる部屋を探して
音源を探っていく。
そして、ようやくその部屋を見つけた。
中を覗くと、アレンが
あのピアノの前に立って
弾いていた。
「アレン」
呼ぶと、アレンは手を止めて
顔をあげた。
「リラン?どうしてここに?」
アレンは憔悴しているようだ。
やつれた顔で微笑む。
私は部屋に入ると
そこにあったソファーに
腰掛けた。
「まだ、病室から出ちゃいけないんじゃ
ない?大丈夫?」
「大丈夫。ていうかアレンの方が心配。
疲れてるみたいだね」
「...僕も大丈夫だよ」
嘘だ。
多分、ノアの方舟について
かなり追及されてるんだろう。
「.......そっか」
心ではそう思っても、
アレンが大丈夫というなら
私は踏み込めなかった。
「ピアノ、弾いてよ」
話題を変えたくて言ってみる。
気分転換もあるし、
私がまた聞きたいというのもあった。
「え?...うん、いいよ」
アレンが再びピアノに
手を置いた。
すぐに、ピアノの音色が流れ出す。
♪♪♪♪♪♪♪♪~
私は、意識が飛ぶのを感じた。