第15章 ノアとの遭遇、その後
~神田サイド~
リナリーが廊下に出ていくのを
見送り、俺はベッドに近づいた。
「.......兄さんっ!...が、リランが!」
廊下から聞こえてきた
リナリーの泣き声に、
俺はため息をつく。
「お前は生きるのを諦めるのが
早ぇよ、バカやろう」
顔を見下ろしつつ、
呆れて呟いた。
「...どうして」
ふいに、マディナが声を出す。
ちらりと横目で見ると、
マディナは固い表情で
俺とリランを見ていた。
「何がだ」
視線を壁に向け、
マディナに聞いた。
「どうして、あなたたちみたいな
若い子が戦うの?」
聞いているというよりは、
責めているような声だ。
「知らねぇよ。
カミサマにでも聞いてみろ」
「自分達を神の使徒とでも言うの?」
投げやりに言うと、
間髪入れずに言い返された。
微かに苛立つ。
「神のイノセンスに選ばれた者が
エクソシストだ。
神の使徒って言うならその通りだろ。
年齢は関係ねぇよ。
それこそじじいからそいつみたいに
15かそこらの人間もいる。
部外者にとやかく言われる筋合いはねぇ。」
イノセンスが何か分からないだろうが、
遠慮なくまくしたてる。
マディナが何かを堪えるかのような
顔をした。
「...私の娘と同じ年齢なのね、この子」
「そいつは?」
「.......アクマに殺されたわ」
ため息をつく。
― めんどくせぇな...。
してはいけない話題に
踏み込んだようだ。
「...悪い」
「いいのよ」
俺は、気がかりなことを
聞いた。
「生き返らせたいとか、思ってるか?」
マディナが驚いた顔で俺を見た。
「どうだ?」
考え込むような顔をする。
「.......思わないことはないわ。
どうして娘が死ななきゃ
いけなかったのかって怒りもある。
もちろん、悲しみもね」