第14章 新たなノアとの遭遇
~神田サイド~
なかなか手強かったアクマを
切り捨て、俺は辺りを見回した。
リナリーがアクマと戦っているのが
まず目に入り、
そのかなりずっと後方で
女が佇んでいるのを
確認した。
― なぜあんなとこに人がいる...?
しかし、よく見れば女は
ノアの特徴に当てはまる。
― そうか、このアクマ共をつれてきたのは
あの女のノアか。
確信した俺は、女を斬るために
走りだそうとした。
だが、走り出す直前に俺の
視界にとんでもない
光景が写った。
「ん?あいつ...」
リランが、アクマの前に立っていた。
しかもアクマは剣を振り上げている。
― 何で逃げねぇんだ?
とりあえず様子を見る。
と、リランの背後に人影を
見つけた。
村人のようだ。
庇うために立ちはだかっているらしい。
そして、恐らくリランはあのまま
アクマの剣を受けるだろう。
「なっ、バカか!!」
そんな奴らのために
死んでどうする。
俺は、一瞬ノアとリランを見比べ、
ギリッと歯噛みすると
リランの方へ駆け出した。
― 間に合え...!間に合え!!
半ば念じながら走るが、
アクマは剣を振り下ろした。
やはりというか、リランは
避けなかった。
「クソッ...遅かったか!!」
アクマを一刀両断する。
倒れるリランを片手で抱き止め、
肩膝をついた。
「おい!しっかりしやがれ!」
声をかけるが、
リランは目を閉じたままだ。
大量の出血のせいか
青白い頬と、浅く荒い呼吸。
恐らく脈も弱いだろう。
一見して危険な状態だった。
「傷を見せて!
私、父が医師だったから
慣れてるわ!」
突然脇から声がした。
見れば、マディナとかいう
村を案内してくれた女がいた。
青ざめて、微かに震えている。
― 傷を見る...。
咄嗟に、リランの体の傷痕が
頭をよぎった。
それに、事情はどうであれ
こいつらは俺達を眠らせて縛っていたのだ。
この女に預けていいのか。
「早く手当てしないと危険だわ!」
迷いを振りきらせるような
マディナの強い声で、
俺は決断した。
「...頼む」
リランを預けた俺は、
ノアの方へ走り出した。