第14章 新たなノアとの遭遇
女は突然、現れたのだ。
何もない広場の真ん中に。
女は、共に現れたアクマに
村人の半分の殲滅を命じた。
恐怖に逃げ惑う村人を、
老若男女の区別なく、
どんどん殺していった。
そうして、残った村人に
「黒の教団に連絡しろ。
私の存在は知らせずに
アクマのことだけを言え。
そして、やってきたエクソシストを
捕らえて殺せ。
3日後にまた来る。
出来なかったら皆殺しだ。」
と言った。
私達に拒否権は無かった。
だからこそ、やってきたエクソシストを見て
驚愕したのだ。
まだ20歳にもなっていないであろう
少年と少女達。
その無邪気な様子に、
暗殺担当だった私は
戸惑ってしまった。
純粋に、村を救うことだけを
思って来てくれた3人。
本当なら、紅茶に毒を
混ぜる予定だったのだ。
でも、眠り薬を盛るので
精一杯だった。
「危ない!!!!」
誰かの叫び声で回想から
引き戻される。
ハッと見れば、茶髪の少女が
こちらに向かって飛んできた。
「う...あ.......」
倒れ、苦しげに呻いた少女の前に、
アクマが降り立つ。
間近にアクマがいる恐怖で、
私達はジリジリと後ずさった。
少女が逃げ出して、
私達が青いドームに囲まれる。
しかし、アクマは目の前で
紫色の剣を振り下ろした。
バリーン!
そんな音と共にドームが砕け散り、
空気が震える。
「きゃあああああ!」
「わああああああ!」
悲鳴が上がった。
逃げ遅れたのは、
あの3人を殺そうと剣を向けた
男だった。
恐怖で動けず、
声もあげられない様子だ。
アクマが一歩一歩近づいてきて、
男に向かって剣を再び振り上げる。
私達が恐怖に目を見開いた直後。
男の目の前に黒い影が
飛び込んできた。
「あなた.......!」
両手を大きく広げた茶髪の少女が、
男を庇うように立ちふさがっていた。
ほんの数秒の出来事だった。